不眠症とは
日本人の5人に一人は眠りに関して問題を抱えているといわれています。日本の就業年齢の約4割が睡眠時間6時間未満で、4人に一人が夜勤勤務を含む就労に従事しています。
私たちの生活に欠かせない睡眠は、何のためにあるのかご存じですか?
そして十分良質な睡眠をとらないことで、どういうデメリットがあるのでしょうか。
睡眠には多くの重要な役割があります。
睡眠中に分泌される成長ホルモンによって、心と体をリラックスさせ、疲れをとり、いたんだ部分を回復します。また昼間の情報を整理して、記憶として脳に定着させるのです。
また寝ている間に、脳にたまった老廃物の除去もしているのではないかといわれています。
睡眠の質が下がったり、睡眠不足の状態が続くと、太りやすくなったり、高血圧、糖尿病など生活習慣病のリスクが上がります。学習や仕事の能率も低下します。また認知症のリスクが上がるといわれています。うつ病の発症のリスクともなります。
不眠症には入眠障害、中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒の4種類があります。
- 入眠困難…床に入ってからなかなか寝つけない。
- 中途覚醒…途中で何度も目が覚める
- 熟眠障害…十分寝た感じがない
- 早朝覚醒…朝早く目が覚めてしまい、寝足りないと感じる
不眠症の診断
①寝るために問題のない寝室環境に居るにもかかわらず、②上記の種類のどれかの不眠をみとめ、③昼間の仕事や学業、家事などに支障が出ていることで、「不眠症」と診断されます。
急性不眠症の原因は5つのP
- 身体的原因 physical…痛み、かゆみ、発熱、頻尿、喘息
- 生理的原因 phisiological…時差ぼけ、シフト勤務による身体リズムと環境のずれ、加齢によるもの
- 心理的原因 psychological…心配事、不安、ストレス
- 精神医学的原因 psychiatric…うつ病、統合失調症、不安症
- 薬理学的原因 pharmacological…アルコール、カフェイン、ぜんそく治療薬(テオフィリン)、降圧薬など
不眠症の治療
不眠のタイプと不眠をもたらしている原因を探ります。
- 睡眠衛生指導…生活習慣や、環境を整えることで改善する不眠には、睡眠衛生指導を行います。
- 認知行動療法…睡眠スケジュール法、リラクセーションを学び、実践、評価します。
- 薬物療法…不眠のタイプに合った、睡眠薬を処方します。不眠症状の改善と日常生活の質の向上が得られたのちは、減量や中止を検討します。
※「また今夜も眠れないのではないか」とつい考えてしまうことで、全身が緊張して逆に目がさえてしまいます。
※無理に寝ようとすると不眠を悪化させてしまいます。眠れなければ、「遅寝早起き」をしてみましょう。睡眠薬を飲んだらすぐに布団に入ってください。お酒と併用はできません。睡眠薬を自己流に増やしたり、減らしたりせず医師に相談してください。
※不眠を長期化させると、慢性不眠に移行し、睡眠薬の多剤併用、過剰投与による転倒や過鎮静、事故、精神症状悪化をもたらすこともあります。こじらせる前に適切な治療を受けることをお勧めします。