双極性障害とは
お酒を飲んで、ハイテンションになって、大騒ぎした翌朝に、「あんなに羽目をはずすんじゃなかった」と、落ち込んだ方はいらっしゃいませんか?躁状態とは、非常にハイテンションの状態のことです。双極性障害は躁状態とうつ状態という、二つの正反対の状態を行き来する疾患です。うつ状態からはじまる事も多く、あやまってうつ病と診断されることがあります。
症状
躁状態
軽い躁状態では、活動的になり、仕事がはかどり、次々アイディアが湧き、楽しい気分になるのですが、悪化するに従い、怒りっぽくなり、暴言を吐いたり、けんかっ早くなったり、欲求を抑えられず多額の乱費をしたり、性的に逸脱した行動に走ったり、さらに悪化すると興奮状態となり、行動がまとまらず、警察沙汰になったり、強制的な入院を必要とするもあります。
うつ状態
うつ病の症状との違いは明確ではありませんが、過眠や過食という「非定型うつ状態」を呈する方も多く見られます。
二つのタイプ
双極性1型障害
上に述べたような非常にはっきりした躁状態とうつ状態を繰り返すタイプ(うつ状態がない場合も含まれる)です。
双極性Ⅱ型障害
軽躁状態(比較的軽度な躁状態)とうつ状態を繰り返すタイプです。
治療
薬物療法と心理教育が有効です。
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薬物療法薬物療法の目的は、気分の安定と再発防止です。
躁と鬱という気分の波を軽減させる「気分安定薬」が使われます。
気分安定薬は、躁状態の際は興奮を抑制する作用を、うつ状態の際は気分を持ち上げる作用を持ちます。※うつ状態に悩んで受診する患者様の2,3割は、双極性障害のうつ状態であるといわれています。抗うつ剤は、病状が不安定になったり、躁転(躁状態を呈する)することにつながったりするため、なるべく使いません。 -
心理教育「双極性障害」という病気について学び、自分のこととして受け入れ、病気に対処する方法を身につけるようにすることを心理教育といいます。
双極性障害を治療せずに放置すると、だんだんと再発の周期が短くなり、社会生活に支障を来してしまいます。躁状態では、本人は気分が良いので治療する気にならないことが多いのですが、自分の病気の特徴を知り、再発の兆し(最近不要なものを買うことが増えた、外出が多くなった、眠るのが惜しいと感じるようになったなど)にすぐに気づき、対処することができるようになれば、再発時に早期に治療を始めることができ、大事に至らずにすみます。