- 11月 16, 2025
誰も知らない私の夜遊び
最近、私は秘密の夜遊びを楽しんでいる。といっても、賑やかな街に繰り出すわけではない。二匹の愛犬を連れ、人気のない散歩道を、お気に入りの80年代ロックを大音量で聴きながら、浮かれて体を揺すって歩くだけだ。だが、これがたまらなく楽しい。
遅くまでの仕事から帰宅し、飼い主としての責任を果たすために、私は毎晩、夜の散歩へと繰り出す。私の住む地域は、古き良き面影が残る場所。広いお屋敷やお墓が点在し、街灯に照らされた人気のない道は、時として不気味なほどの静寂に包まれる。待ちかねた犬たちは、私の疲れた体などお構いなしに、容赦なくリードを引っ張り、一目散に走り出す。
この憂鬱になりがちな夜のルーティンが、ある日一変した。子供たちに文明の利器であるBluetoothとAmazon Musicを教わり、そして何より、ディスコへの扉を開いたのは、某100円ショップで手に入れた1,000円のヘッドホンだった。
時代は遡る。日本がバブル景気に沸いた頃、ディスコがあった。田舎で学生時代を過ごした私にとって、それは街に一つだけある「マハラジャ」という非日常の空間。たまに友人と訪れても、人目を気にして恐る恐る体を揺らすのが精一杯だった。
あれから長い年月が流れ、あの頃の若き日の恥じらいは、夜霧のようにきれいに霧散した。真夜中、誰もいない道で、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『セプテンバー』や『宇宙のファンタジー』が流れ出すと、もう理屈はいらない。愛犬たちと一緒に、自然と体が走り出し、そして、誰も見ていない私だけのディスコダンスが始まるのだ。

夜遊びの相棒たち。 鮮やかな首輪でテンションを上げます。