• 7月 26, 2025
  • 7月 29, 2025

シュフの気まぐれランチプレート二品

プロの料理界は男性上位、でも家庭料理の担い手は今もって女性──。そんな話を耳にするたび、どうにも腹立たしくなる。 私の中高時代、男子は技術、女子は家庭科ときっぱり分けられていた。 それを何の疑問もなく受け入れていた当時の自分が、今となっては少し情けない。 あの時、男女で科目を分けるなんてことをされていなければ、テレビの配線すらお手上げになる私の筋金入りの機械音痴も、もう少し軽かったかもしれない。

そんなぼやきはさておき、最近のクリニックでは実に頼もしい出会いがある。料理を「特別なこと」ではなく、ごく当たり前の日常としてこなす男性たちが、確実に増えているのだ。 先日も、立て続けに若い男性二人から、思わず「それ、今度の日曜に作ってみよう!」と膝を打つようなレシピを教えてもらった。

一人目は、すらりと背が高く、長い髪を後ろで束ねたまさやさん。黒いエプロンをかければ、カフェのバリスタといった雰囲気だ。今はのんびりと仕事を探している彼は、実家暮らしながら、自分の食事は冷蔵庫のありあわせで「ちゃちゃっと」作るとのこと。 「例えば、昨日は何を作ったんですか?」 興味津々の私に、彼は少し考えてから、こともなげに教えてくれた。 「えーっと、冷蔵庫にあったベーコンと玉ねぎ、ありものの野菜を炒めて。そこに冷やご飯と牛乳を入れて煮て、白だしで味を調えたリゾットです」  コンソメではなく、白だし。 そのさりげない選択に、彼の料理のセンスが光る。以前付き添いで来られたお父様も、「あいつが料理するようになって、スーパーで見るものが増えたみたいです」と、嬉しそうに話していた。

その翌週に来られたのが、一人暮らしのひゅうがさん。 彼もまた、ごく自然に自炊をこなす料理男子だ。 不調でしばらく食事がとれなかったそうだが、ようやく食欲が戻ってきたとのこと。 「どんなものを作るんですか?」と尋ねると、「いやあ、本当にあるもので…」と、はにかんでなかなか教えてくれない。 「例えば昨日は?」 こうして食い下がるあたり、我ながらおばさんは図々しいと思う。 「えーっと、ペッパーランチを作りました。 冷蔵庫に余っていた豚肉とコーンとネギを炒め、焼き肉のたれとバターで味付けします。」  そしてもう一度「コーンを入れるんですよ。」と、強調したひゅうがさんだった。 

特別な材料も、難しい手順もいらない。「あり合わせで作る」。 これこそ、日々の食卓を担う主婦や主夫の料理の真髄ではないだろうか。 さて、今日我が家の冷蔵庫には何があるかな。  

水上シュフによる、シェフの気まぐれサラダ風サラダ

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